退院後の生活まで一緒に考える看護師へ。手術室から訪問看護へ、そして心臓リハビリという選択

心臓リハビリテーション室 看護師 古田
他院にて手術室を中心に勤務したのち、2006年に岸和田徳洲会病院へ入職。訪問看護室で約20年にわたり地域に根ざした看護に取り組む。3児の母として育児と仕事を両立しながらキャリアを継続。心不全療養指導士の資格を取得後、訪問看護室の閉鎖を機に心臓リハビリテーション室へ異動し、心疾患患者の二次予防を担う生活指導に携わっている。
<目次>
・私が岸和田徳洲会を選んだ理由
・突然の別れ、心不全療養指導士へ
・心臓リハビリテーション室での仕事
・子育て3人、20年続けて来られた理由
・技術よりも「一緒に考える姿勢」
|病棟未経験で、訪問看護へのチャレンジ
看護師として働き始めてから、透析室や手術室で長く勤務していました。気づけば病棟経験がないまま、30歳手前になっていました。
「年齢も年齢だし、一度やりたいことをやってみたい」という気持ちが強くなって、ずっと気になっていた訪問看護に挑戦してみようと決心しました。病棟経験もないままでの挑戦でしたが、失敗してもまだやり直せる年齢だと思って踏み出しました。
働けるところを探していたところ、友人が岸和田徳洲会病院に勤めていて、「訪問看護室があるよ」と教えてくれました。面接に来てみると、とても雰囲気が良くて、当時の主任さんが関西人のお姉さんのような方で、他のスタッフも往診の先生も、みなさんとても優しかった。「ここなら頑張れそう」と感じて、入職を決めました。
|「やりたい気持ち」を受け入れてくれた場所
訪問看護はまったくの未経験。しかも病棟での経験もなし。正直、かなりのチャレンジだったと思います。入職当時は不安のほうが大きかったのを覚えています。でも、訪問看護室のみなさんが本当に手取り足取り教えてくださいました。ご利用者様との関わり方、体の拭き方といった基本的なケアから丁寧に優しく教えてくださって。「未経験でもやりたいという気持ちを持って来てくれるなら一から教えるよ」という空気がそこにはありました。
訪問看護はご利用者様のお宅に入らせていただくので、患者さんとの距離が近くなります。きちんと線引きはしながらも、「この方のために何かをしたい」という思いが自然と育まれていく仕事でした。

|突然の別れが、勉強するきっかけに
心不全療養指導士の資格を取るきっかけになった患者さんがいます。訪問看護のご利用者様の中にも心不全を抱える方が多くいらっしゃいました。自分自身、心不全についてもっと勉強しなければと感じていた頃、あるご利用者様が突然亡くなられる経験をしました。
その方は、少しずつ体の状態が良くなってきていて、「次はやりたいことをやっていきましょうね」とお話していた翌日にお亡くなりになられた。私が訪問に入っていない時間帯のことでした。そういうリスクがある疾患だとわかっていても、心に深く刻まれた出来事でした。
「何かできることがあったのではないか」その思いが、心不全についてしっかり勉強しようという行動に変わりました。ちょうどその頃、心不全療養指導士という資格が新たにできて、第1回目の試験が行われるタイミングでした。これも何かの縁だと感じ、受験して資格を取得することができました。
|「再発させない」退院後の生活まで一緒に考える仕事
心臓リハビリテーション室に来たのは、訪問看護室が閉鎖になったことがきっかけです。異動先を考えたとき、病棟よりも外来の方が、これまで地域と関わってきた経験を活かせるのではないか。また、心不全療養指導士の資格を取っていたことも考慮してくださって、心不全の患者さんに多く関われる心臓リハビリテーション室(予約外来所属)の配属となりました。
岸和田徳洲会病院には、心臓血管外科の手術を受けた患者さん、循環器でカテーテル治療をされた方、心不全の患者さんなどが多くいらっしゃいます。こうした方々は動脈硬化や生活習慣病が背景にあることが多く、退院後に入院前と同じ生活を続けてしまうと、また再発・再入院につながってしまうケースがほとんどです。二次予防がとても重要で、心臓リハビリテーション室では、再入院・再発を防ぐための生活指導や運動療法に取り組んでいます。その方の生活に合った食事のとり方や運動の取り入れ方を一緒に考えていく役割です。
この仕事の一番の特徴は、入院中から退院後の外来通院まで、同じ患者さんを継続して見ていけることだと感じています。外来に来てもらった時に、退院後の生活の変化を聞くことができる。入院中に指導したことが実生活で活かされているかどうか、評価もできます。
訪問看護の経験も役立っています。どんな介護サービスが使えそうか、ケアマネジャーやヘルパーさんとの連携など、退院してからの生活がリアルにイメージできることで、橋渡しの役割ができているかなと思っています。
令和8年度の診療報酬改定で、慢性心不全の再入院予防に関する取り組みへの加算が新設されることになりました。岸和田徳洲会病院では、これまでも多職種スタッフと連携しながら点数なしで行ってきた取り組みがきちんと評価されるようになります。今までハートチームとして取り組んできたことが認められる形になったことは、チームみんなにとって励みになっています。

|小さな変化に気づけること
安定している患者さんの場合、外来来院の間隔が1ヶ月から3ヶ月ほど空くこともあります。そのぶん、久しぶりに会った時の変化に気づけたとき、少し役に立てたと感じられる瞬間があります。
前回は元気に部屋まで来ていたのに、今回は少し痩せている、表情が暗い。そういう変化を見逃さないように、声をかけて話を聞きます。ご家族の方からお話を伺うこともあります。介護を担っているご家族が、一人で抱え込みすぎているケースも少なくありません。「上手にサービスを活用してみませんか?」と一緒に考えて、次に来た時に「言ってもらったようにやってみたら、ちょっと楽になりました」と笑顔で教えてくれる。そういう瞬間に、外来での仕事の意味を感じます。
心臓リハビリテーション室は、1日6クラス、1クラス最大6人の患者さんが来室します。自転車エルゴメーターでの運動療法は20分間ですが、その前後にも体操や情報収集があり、モニタリングをしながら同時進行で動いています。朝は入院患者さん全員分の情報収集から始まるので、決してゆったりした職場ではありません。ただ、一人ひとりの患者さんとじっくり話せる時間はあります。
心不全委員会でも、栄養士・薬剤師・ソーシャルワーカー・病棟看護師の方々と連携して、それぞれの視点から意見を出し合いながら患者さんを支えています。多職種チームで患者さんの生活全体を見ていく、そういうチームの一員でいられることも、この仕事の醍醐味です。

|子育て3人、20年。それでも続けてこられた理由
2006年の入職から、子どもを3人産みながら、岸和田徳洲会病院で働き続けてきました。産休・育休を取って、時短勤務もさせてもらって、一時期はパートにも変わらせてもらって。子どもがある程度大きくなってからは常勤に戻って、という形でキャリアを続けてきました。ブランクなしで看護師の仕事を続けられたのは、働き方を柔軟に変えさせてもらえたからです。
続けてこられた一番の理由は、人間関係だと思っています。人間関係がしんどいと、やはり続かない。一緒に働いてきた仲間が私に合っていたから、助けてもらいながらこれまで続けて来られました。
ちなみに、夫も同じ病院で理学療法士として心臓リハビリテーション室に勤務しています。「同じところで、よく一緒に働けるね」と周りからは言われますが、仕事中は淡々と普通に接しています(笑)。職種が違う分、お互いのプロフェッショナルとして関われているのかもしれません。
また、やりたいことを正直に伝えると、きちんと応えてくれる病院だということも実感しています。病棟未経験で訪問看護にチャレンジできたこと、心不全療養指導士の資格を活かせる場所に異動できたこと。自分の興味やスキルを活かせる環境を作ってくれたから、続いているのかなと思います。
|求められるのは、技術よりも「一緒に考える姿勢」
心臓リハビリテーション室での仕事に向いているのは、患者さんとのコミュニケーションが好きな方だと思います。看護技術や手技の高度さよりも、その方の生活を一緒に考えられる根気強さと柔軟さが求められます。疾患への知識はもちろん大事ですが、その患者さんのことをいろんな面から知ろうとする姿勢が大切だと感じています。
患者さんの生活に密接に関わる看護に興味のある方に、ぜひ来ていただけたらと思っています。
(写真・インタビュー・文:MottoBrand 福井勝雄)
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岸和田徳洲会病院の心臓リハビリテーション室では、患者さんの入院中から退院後まで継続して関われる看護師を募集しています。訪問看護や在宅ケアの経験がある方、患者さんの生活に寄り添う看護をしたい方、心疾患の二次予防に興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!